轍(わだち)

これまでの足跡や日々の感じたことを紹介していきます

二人乗りバイクで畑にダイブ!

またまた大学時代の話です。

 

その日は私の下宿先にH君とT君が遊びに来ていました。

H君は地元の町の出身者で、郊外の自宅から400ccのバイクに乗って通学していました。

当時、私もT君もH君の自宅に行ったことがなかったので、今からH君の家に遊びに行こうということになりました。

私はH君の400ccバイクの後ろに乗せてもらい、T君は250ccのオフロードバイクでついて行きます。

 

H君の実家は、郊外も郊外。

夏にはホタルが乱舞する田舎で、川沿いのカーブの道を右へ左へバイクを倒しながら登っていきます。

しばらく進むと辺りは街灯もなく、畑が点在する山あいの大きな一軒家に到着しました。

 

そうなんです。

H君は農家の息子さんで、家には高級車のほか、大型トラックやトラクター、コンバインなどの農業用の車両が庭のあちこちに停まっていました。

H君の部屋は1階の8畳間の広い部屋でして、私たちが部屋に入ると、飲み物やお菓子の接待を受け、おまけに夕飯までごちそうになってしまったのです。

 

そして、夜も9時を回ったころ、そろそろ帰ることになりました。

私はH君から予備のヘルメットを借りてT君のバイクの後ろに乗せてもらい、H君とその家族に見送られながら、来た道を帰ったのです。

 

辺りはバイクのヘッドライトの明かり以外には街灯もなく、真っ暗な中を右へ左へとバイクを倒しながらカーブの多い坂道を下っていきます。

そして500mほど下った左の急カーブに差し掛かった時のことです。

T君は思いのほかスピードを出していたものですから、カーブを曲がりきることができず、道路の1m下の畑にバイクごとダイブしてしまいました。

 

バイクは前方に一回転したものですから、後ろの座席に座っていた私は、T君の頭上を飛び越えて前方宙返りをしながら草が覆い茂った畑に転がり落ちてしまいました。

「いたあ!」と言いながら後ろを振り返ると、横転したバイクの前に背中をさすりながら立ち上がっているT君がいました。

 

二人ともけがもなく無事を確認したあと、畑からバイクを引上げたところ、ハンドルが30°ほど左に曲がっていました。

それでもエンジンがかかったものですから、再びT君の後ろに乗って下宿先までゆっくりと帰ってくることができました。

 

後で考えると、左カーブの下が畑で、しかも雑草が覆い茂っていたため、ちょうどクッションの役割を果たしていました。

そのため私たちは、大きなケガをすることもなく、事なきを得たわけです。

一歩間違っていれば大けがどころか命が危なかったなと思い

自転車遠出事件【神の手で命拾い?自転車遠出事件】以来、またしても神様に助けていただいたなと感謝をするのでした。

バイクの二人乗り