受験生なのに4度目の恋に落ちる②～夏のキャンプで急接近！～

前回の記事はこちら＞＞＞受験生なのに4度目の恋に落ちる①～恋のキューピットは？～

夏のキャンプの肝試し大会で急接近！

私は普通科に通っていましたが、進学校ではなかったものですから、よりによって３年生の夏休みに、「クラス全員でキャンプに行こう！」という話になっていました。ただ、事故があってもいけないので、担任の先生に引率をお願いすると、まあ、勉強ばかりしていても能率が悪い、気晴らしも必要だと思ったのか思わなかったのか分かりませんが、あっさりとＯＫが出たものですから、教師公認の夏休みキャンプを開催することになりました。

場所は、Ｈ君の家の前の、砂浜が続く無料の海水浴場で、１泊２日のキャンプを実施することになりました。

当日は現地集合、現地解散で、当然、Ｋ子さんもキャンプに参加しており、みんなで楽しくテントを立てたり、砂浜で騒いだりして遊んでいました。先生も、Ｈ君の家でビールを御馳走してもらっていい気分になったのか、「お前たちも飲め！」と言い出したものですから、男子みんながビールで乾杯することになりました。私もこの時初めてビールを飲んだのですが、真夏のテント貼りの後でしたので、のど越しのいいビールに「こんなおいしい飲み物（お酒）があるのか！」と思いながら飲んだ記憶があります。

そんなこんなで、ほろ酔い気分のまま、夜の定番「肝試し大会」が開催されました。ルールは、男子と女子が別々にくじを引いて、同じ番号の男女がペアになって、肝試しをするというものです。コースは海岸沿いの道路100ｍほど歩いた後、民家を通り抜けながら近くの小学校へ行き、グランドを迂回するように渡り廊下を歩いて行きます。そして、突き当りの教室の前に置いてある棒を取ってくるというものです。

くじ引き前に交友関係の説明をしておきますと、クラスにはＫ子さんと同じ中学校の同級生のＳ子さんとＴ君がいました（私は別の中学校でした）。そして、実はＴ君もＫ子さんのことがずっと好きだということを、後になって他の友達から聞きました。

私とＴ君とは、特に仲がいいというわけでもなく、同じクラスの学友という感じで、この日も普通にしゃべっていました。また、Ｓ子さんはＫ子さんの親友で、いつも二人が一緒にいました。

そして、今回の肝試しでのくじ引きでは、なんとＫ子さんとＴ君がペアになって歩くことになり、その次に歩いていくペアには、私とS子さんになってしまいました。

そうこうしているうちに、Ｔ君とＫ子さんが出発する時間になりました。私は、二人仲良く（？）海岸沿いの道を歩いていく姿をうらやましく思いながら見つめていました。

（気持ちは焦りますがどうすることもできません。）

ほどなく、私とＳ子さんの順番がやってきました。私は、Ｓ子さんと何気ない話をしながらも、気持ち早歩きで、見えない二人を追いかけていきます。

学校に着くとグランドの端に街灯がついているのみで、渡り廊下の辺りは暗くて前がよく見えません。半分、手探り状態の中、S子さんと二人で歩いていると、いきなり、見えない手が私たちの足をつかんでくるではないですか。思わず「うわっ！」「きゃっ！」という悲鳴に似た叫び声が小学校中に響き渡りました。

そうなんです。先発隊のペアの生徒たちが、暗がりの中、後からやって来たペアを待ち伏せして、いきなり足をつかむものですから、渡り廊下のあちこちで悲鳴が聞こえてきます。

それでも、我々二人は何とか目的の棒を持って学校を抜け出し、海岸へと向かって歩きます。すると、10ｍほど前にT君とK子さんが歩いているではないですか。

通常であれば、今の間隔を保って歩いていくところなんですが、逆に私は、前の二人に近づこうと、少し早足になるものですから、海岸に着く前に追いついてしまいました。

こうなると、T君とK子さん、S子さんは同じ中学の同級生、私も加わって４人でしゃべりながら歩いていきます。私はK子さんに話しかけながら少しずつ足を速めていくと、なんと、K子さんも私に付いて来るではないですか。

そのため、海岸に出た頃には、私とK子さんがペアで歩いている5～10ｍほど後ろをＳ子さんとＴ君が歩いてくる構図が出来上がってしまいました。