今日は高校時代の出来事を紹介します。
私の学校にはサッカーボール部がありました。
ただし、県内でも1、2位を争うほどの弱小チームでしたので、グランドの端っこで、細々と練習をしていました。
そのため、私のクラスには、ほとんど練習に出ない隠れサッカー部員がいた程度で、体育の時間に生徒全員で紅白戦をしても、素人同然の試合になってしまいます。
この日も、体育の授業で女子生徒がテニスコートで軟式テニスをしている隣で、男子生徒が全員でサッカーの紅白戦をしていました。
私もサッカー経験がないのですが、元バスケットボール部でフェイントは得意でしたので、前半早々、右サイドバックでパスを受けると、相手陣地へ向かってボールを前へ蹴りながら、バスケットと同じように体だけ左右にフェイントをかけながら進んでいきます。
するとなんということでしょうか。私の前にいた相手チームの選手が面白いように右へ左へと避けてくれるものですから、私は、悠々と前に進むことができました。
そして、なんと、センター付近からペナルティエリア付近までドリブルをして駆け上がることができたではないですか。
まさしく、今は亡きマラドーナを彷彿とさせる足さばきで相手ディフェンダーを交わしながらドリブルで駆け上がっていったわけです。
隣のコートでは、私の好きなK子さんを含む女子生徒たちがテニスをしていたのですが、何が起こっているのかと、立ち止まったまま、私のドリブル突破を見つめているではないですか。
私は調子に乗ってしまい、ここはかっこよくシュートを決めようと足を振り抜きましたが、左利きだということを忘れていました。
私の右足で蹴ったボールはへなちょこシュートのごとく、力なくゴーロゴロとゴールに向かって転がって行き、キーパーの手の中に難なく収まってしまいました。
女子生徒たちは、「な~んだ!」という感じで、何事もなかったかのようにテニスを再開します。
私も、何事もなかったように、相手チームのキーパーが蹴ったボールを追いかけながら、後半は左サイドバックを駆け上がって行こうと心に誓ったのでした。