バイクの納車は平日の夕方でした。バイク屋さんまでは歩いて10分ほどの距離でしたので、片手にH君から借りたヘルメットを持って意気揚々を歩いて行きました。
そうなんです。納車の後、Y子さんを乗せてドライブをすることにしていました。
ほどなくバイク屋さんに着くと、そこにはピカピカの私のバイクが置かれていました。事務所へ入って簡単な説明を受けた後、注文していたヘルメットをもらい、さっそうとバイクにまたがりまして、Y子さんが待っている寮へと向かって行くのでした。
Y子さんが住んでいる寮はバイク屋さんから2kmほどのところでしたので、5分もしないうちに着いてしまいましたが、250ccなものですから、原付バイクと違って余裕のある走りを楽しみながら走ることができました。
寮の前まで着くと辺りは少し薄暗くなってきていました。
ほどなく寮から出てくる一人の女性が私の方へと向かってきます。そうです。Y子さんが目を細めながらこちらへと歩いて来るのでした。
私は早速、新品のヘルメットをY子さんへ渡し、私はH君から借りた古いヘルメットをかぶり、早速夕方の町を走って行くのでした。
実は、バイクを購入する前、初めて人を乗せるのはY子さんだと公言していましたので、この日は、新車を購入した喜び以上に、目的を達成することができた感動を味わいながら二人でバイクに乗って当てもなくドライブを楽しみました。