私の職場には2人の新採職員がいました。
私とN君なんですが、同期のN君の係は現場で県民と接する仕事なものですから、毎日、先輩と一緒に公用車に乗って出かけて行きました。
一方の私は、職場全体の調整係ということで、いわば雑用係を担っていましたので、職員の細かな事務処理やら電話対応、資料作成など、皆さん、受け持ちの仕事に忙しくしていました。
私は、その先輩の手伝いを行っていましたが、いつもお声がかかるわけではないものですから、そのうち、席に座ってぼぉ~っとしている時間が増えてきました。
こんな日が数日続くだけなら耐えられるのですが、6月に入っても同じような調子だったものですから、段々と気が滅入るようになっていきました。
元々おとなしい性格の私がさらに言葉数が少なくなってしまい、胸が苦しくなってくるのでした。
そして、毎週日曜日の夜になると、翌日からの、仕事がない仕事が気になってしまって眠れなくなり、朝も目が覚めると気持ちが重くなるものですから、今でいう「うつ」に近い状態になっていたのではないかと思います。
そんな日が続いたある日のこと、入庁後3か月が経ったということで、職場の上司の面談がありました。私は、これ幸いと、仕事がない毎日の苦しい胸の内を打ち明けるのでした。
その後は、少しずつではありますが、私にも任される仕事が増えてきて、胸の苦しみもなくなっていったのですが、毎日、同期のN君のはつらつとした顔を見るたびに、配属された部署によってこんなに気分が違うのかと、実感しました。