受験生なのに4度目の恋に落ちる⑤～席替えでいつも隣同士～

席替えでは必ず隣の席をゲット！

私のクラスでは、担任の先生の気まぐれなのか、席替えが頻繁にありました。毎回、くじ引きをして席を決めるのですが、中には黒板の文字が見えにくいとの理由で、座席が決まった瞬間から、席のトレード交渉が始まります。

私は、目が悪くなかったのですが、Ｋ子さんの近くに座りたいがために、毎回、何度も何度も座席のトレード交渉をして、徐々に近づいていき、最後にはK子さんの横の席を確保していました。

結局、付き合いだしてから卒業するまでの間、ずっと隣同士で授業を受けることになり、休憩時間や昼休みも、隣同士なものですから、学校の授業がある日はいつも一緒で、色々な話をしていました。そのためか、周りの同級生たちも近づきづらいようになり、いつの間にか二人だけの世界が出来上がっていたように思います。

そしてある日の放課後、私は用事があって帰るのが遅くなりました。ほどなく用事も済んだので帰ろうと教室へカバンを取りに行くと、ちょうどK子さんも帰ろうとしていたところでした。そこで、いつものように話し込んでいると、他の同級生たちも一人二人と帰っていくものですから、最後には私たち二人だけになってしまいました。

時間も遅くなりかけてあたりが暗くなってきたころです。

ここで普通でしたら「チャンス！」と思って「初〇ッス」になるところでしたが、ほどなく教室のドアが「ガラガラ」と開いて、「お前たち何している。早く帰りなさい！」という先生の声が教室中に響き渡りました。

残念と危なかったという二つの思いが頭を駆け巡りましたが、二人とも、そそくさと荷物をまとめて家路につくのでした。