轍(わだち)

これまでの足跡や日々の感じたことを紹介していきます

母の記憶~茶色いガラス瓶と薬品の臭い~

生誕から幼稚園までの出来事の第一弾として、母の記憶を辿っていきたいと思います。

 

私がこの世に生まれてから最初の記憶は、3歳(4歳の誕生日前)の時、薬の入れ物と薬品の臭いの記憶です。

茶色の小さなガラス瓶に入った液体(薬)が鼻にツンと匂ってくる薬品の臭いでした。

後で聞いた話ですが、私の田舎では、出産時には産婆さんを呼んでいたそうです。

ある日の早朝のことです。

私は母のお腹の中にいましたが、急に母が産気づいたものですから、産婆さんを呼ぶ間もなく私を産んだそうです。

ただ、後産か出てこないので父も困ってしまい、すぐに産婆さんを呼びにいったそうですが、なかなかの難産になってしまいました。

そのせいか、産後の肥立ちも悪く、体調を崩して寝たきりになってしまったそうです。

その日、母は、容態が悪化してしまい、病院の先生が往診に来ていたようでしたが、看病もかなわず、私の4歳の誕生日前に亡くなってしまいました。

私には、母の記憶も、その時の記憶もないのですが、なぜか茶色いガラスケースに入った薬と薬品の臭いだけが記憶に残っています。